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【肝斑の論文】肝斑治療の新しいトレンド!シルファームによる真皮治療で改善効果アップ!

真皮層をターゲットにしたマイクロニードルRF治療は、従来治療の効果を長期間維持し、肝斑の再発を抑える有効な補助療法として有望である​”

*タイトル

“Targeting the Dermis for Melasma Maintenance Treatment”

*著者、雑誌名、公開年

Hee Jeong Han, Jin Cheol Kim, Young Joon Park, Hee Young Kang
Scientific Reports, 2024

この記事のポイント
  • 研究背景と目的
    肝斑の再発は、従来の肝斑治療の課題であり、真皮をターゲットとしたマイクロニードルRF新たな維持療法として注目されている。
  • 方法と結果
    コンビネーション治療経口トラネキサム酸とハイドロキノン+トレチノイン+ヒドロコルチゾンのトリプルクリーム)の2か月間の実施後、片側顔面に月1回のマイクロニードルRF治療を6か月間継続し、ラジオ波治療側で効果の維持が確認された。
  • 考察と結論
    真皮層へのターゲット療法が、肝斑再発の抑制に効果的であり、マイクロニードルRF治療は既存治療との併用でその有用性が示された。

こんにちは!皆さん、肝斑というシミについて聞いたことがありますか

肝斑は30代以降の女性に多くみられるシミの一種で、肌への刺激に対してメラノサイトが敏感に反応してしまう状態です。

治療としては、内服薬や外用薬を中心に、できるだけ肌に優しくしてあげるのが良い。

というのが従来までの見解でしたね。

ところが、最近は肌の真皮という少し深い層を整えてあげることで、表皮という浅いシミのある層まで綺麗になってくれるという考え方が出てきています。

今回は、従来の考えでは推奨されていなかった、肝斑患者に対して肌に刺激のある真皮治療を行うことで、肌が綺麗になった!という韓国の2024年最新研究を解説します。

結論としては、真皮を改善する治療で肝斑の改善効果がアップするのです!

今回紹介する研究では、シルファームXという日本の美容クリニックでもよく使われる機械どのような肝斑改善効果が得られたのかなど、

気になる情報が盛りだくさんなので、ぜひ最後までご覧ください!

目次

研究背景 〜再発しやすい肝斑どう治す?〜

肝斑(かんぱん)は、顔にできるシミの一種で、一度発症するとなかなか治りにくい疾患です。

従来治療として使用されるトリプル配合クリーム(ハイドロキノン、レチノイド、ステロイドの配合剤)経口トラネキサム酸は一定の効果を示しますが、治療終了後の効果維持が課題です。

肝斑は最近、光老化によって起こる病態の1つとみなされています。

研究の進展により、肝斑では、不適切なメラノサイトの活性化に加えて、日光弾性線維症(solar elastosis)、血管新生の増加老化線維芽細胞の増加など、より多様な病態メカニズムが観察されることが示されています

光老化した線維芽細胞や血管系の増加など、老化した真皮からの継続的なメラニン生成シグナルは、メラノサイトを活性化し、肝斑における色素沈着の増加につながります。

これらを考慮すると、シミの原因となるメラニン色素を生成するメラノサイトを直接制御するような従来の治療以外に、肝斑治療には真皮を標的とする戦略の必要性が示唆されます。

本研究では、真皮層へのラジオ波(RF)マイクロニードリング治療が肝斑の再発抑制に寄与する可能性を検証しました。

研究方法 〜15名の韓国人女性を対象に研究〜

本研究は韓国の大学病院で行われたランダム化臨床試験です。15人の女性(平均年齢47歳、肝斑歴平均9.73年)が参加し、以下の手順で実施しました。

COVID-19パンデミックとも重なり、最終的に11人の被験者が試験を完了しました。

研究デザイン

  • 種類: ランダム化スプリットフェイス臨床試験(半顔にのみニードルRF治療を適用
  • 期間: 2021年12月から2022年8月まで(8か月間)
  • 対象者:
    • 15名の女性(平均年齢47.07歳、年齢範囲37~62歳)
    • 肝斑の平均罹患期間: 9.73年
    • Fitzpatrickスキンタイプ: IIIまたはIV

治療内容

  1. 従来治療(2か月間)
    • 経口トラネキサム酸 TA(250mgを1日2回摂取)
    • トリプルクリーム TCC(5%ハイドロキノン、0.003%トレチノイン、1%ヒドロコルチゾンを含む)を毎晩顔全体に適用。
  2. RFマイクロニードリング治療(2段階で実施、計8ヶ月間)
    • 従来治療期間中片側の顔にニードルRF治療を2週間ごとに実施。
    • 従来治療終了後片側の顔にニードルRF治療のみを月1回実施(6か月間継続)。
    • ニードルRFデバイス: Sylfirm X™(バイポーラモード、深度0.3mmで2パス0.8mmで1パス
    • 使用モード: パルス波(PW2)、出力レベル4~6
治療介入のタイムライン(TA=トラネキサム酸、TCC=トリプルコンビネーションクリーム)

評価指標

  • mMASIスコア(肝斑の重症度評価)
  • L*値(色の明るさを示す指標): クロマメーターを使用し、左右両面の同一部位で測定。

研究結果 〜ニードルRFでは肝斑改善効果が維持〜

肝斑のある46歳女性に対する従来治療と維持治療の有効性。経口トラネキサム酸とトリプル配合クリームの併用療法により、肝斑が著しく改善した(ae)。従来治療を中止した後も、高周波治療側(f)の改善は維持されたが、未治療側(c)ではベースラインに戻った

研究結果です。

まず内服と外用薬を使用した肝斑の従来治療を顔全体に行うことで、2か月後時点で被験者全員に肝斑の改善がみられました。

肝斑の重症度を測るmMASIスコアは平均5.02から1.80へ64.1%減少しました。

つまり上の症例写真の左から真ん中へのように、肝斑が大幅に改善しています。

2ヶ月後時点では、従来治療群と従来治療+ニードルRF群で、改善効果に有意差は認めませんでした。

続いて、従来治療終了後に、合計11名の被験者が6か月間毎月、半顔のニードルRFを続けたところ、マイクロニードルRF治療側では肌の明るさを示すL値が維持(平均2.7以上)しましたが、非治療側では6か月以内にL値が基準値に戻ってしまいました。

ニードルRF非治療側の顔は、従来治療を終了して1ヶ月後から有意にL値が減少しました。

具体的な治療効果については以下のようになります。

従来治療の効果(2か月間)

  • mMASIスコアの変化:
    • ベースライン: 平均5.02(±2.27)
    • 従来治療後: 平均1.80(±1.38)
    • 改善率: 平均64.1%
  • L*値の変化(色の明るさ):
    • RF治療側: 59.79(±1.79)→ 62.86(±1.74)
    • 非治療側: 60.44(±1.91)→ 62.55(±2.03)

RF治療の維持効果(6か月間)

  • 非治療側: L*値は従来治療終了1か月後から徐々に減少し、6か月以内に基準値へ戻る
    • ΔL*(ベースラインからの平均変化量)は0に近づく。
  • RF治療側: L値の改善が維持され、ΔLは2.7以上を保つ。

副作用

  • RF治療側では、軽度の赤み(30分以内に回復)や痛みが報告されるが、出血、感染、炎症後色素沈着、瘢痕などの深刻な副作用はなし
マイクロニードルRFを継続した側では肝斑改善効果が持続している

結論と考察 〜肝斑のコントロールには真皮治療が重要かも〜

マイクロニードルRF治療は、老化真皮のメラニン生成シグナルを抑制し、肝斑の再発を抑える可能性があります。

一方で、従来治療単独でも一定の効果があるため、RFの相乗効果の評価にはさらなる研究が必要です。

従来の治療に加えてマイクロニードルRFを行った場合、Δ L*値の改善は良好であったものの、従来の治療単独よりも優れていることは示されませんでした。

その理由は、経口トラネキサム酸(TA)およびトリプルコンビネーション外用薬治療(TCC)の効果がすでにかなり大きいためであると考えられます。

以前の2021年の韓国の研究報告では、RFマイクロニードリングは、従来のQスイッチNd:YAGレーザーのトーニング治療と組み合わせることで、加齢に伴う色素疾患に相乗効果があることが示されています。

本研究のもう一つの興味深い知見は、肝斑治療における経口トラネキサム酸とトリプルコンビネーション外用薬の併用の有効性が確認されたことです。

2か月の治療後、被験者全員においてmMASIの顕著な改善(64.1%減少)が見られ、これは以前の研究と同等でした。

経口TAとTCCの治療後、メキシコの研究では8週目にmMASIが65.45%改善し、別の研究では20週目に62%改善しました。

同様のイランの研究では12週目にMASIが51%改善し、インドの研究では8週目にMASIが87.9%も改善しています。

経口TAの単独治療だと3か月の治療でmMASIスコアが49%減少との報告があり、経口TA+TCCの併用療法の方が優れているようです。

しかし、治療中止後の再発は依然として大きな課題である。

本研究における肝斑の再発率は以前の研究と同様で、TA500mg を毎日経口投与された患者のほとんどが、中止後6 週間で再発を経験しています。

TA内服中止後の再発率は2か月以内に72%と報告され、2016年のイランの研究ではTA経口投与と外用ハイドロキノン外用中止後3か月以内に平均MASIはベースラインと比較して77.4%にリバウンドしました。

したがって、これらの知見は、肝斑治療における真皮標的療法の有益な役割を強調しています。

肝斑治療の長期維持は、患者のQOL向上に直接寄与します。

本研究は、非侵襲的かつ持続的な治療アプローチの可能性を示し、美容皮膚科学に新しい方向性を提供します。

本研究では、秋から冬にかけての肝斑の自然改善という交絡因子を除去するために、被験者は冬の終わりに登録され、夏以降に追跡調査されました。

この研究の限界としては、

  • 小規模(15名)かつ単一施設での試験
  • 女性のみを対象とし、他の人種や性別への適用可能性が不明
  • 治療後の長期的な効果に関するデータ不足

が挙げられます。

今後の大規模な臨床研究を楽しみに待ちましょう。

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