はじめに
「HIFUを受けたらすぐに効果が出るの?」「何回くらい受ければいいの?」
美容クリニックでも人気のたるみ治療「HIFU(高密度焦点式超音波)」ですが、その効果の出方や持続期間、適切な施術回数について気になっている方は多いはず。
この記事では、医療論文のデータをもとにHIFUの効果や施術プランをわかりやすく解説します。
HIFU(ハイフ)とは?仕組みと効果の基本

HIFUは「High Intensity Focused Ultrasound」の略で、日本語では「高密度焦点式超音波」。
皮膚の深い層(SMAS層)に超音波の熱エネルギーを集中させ、コラーゲンの収縮と再生を促すことで、たるみの引き締めやリフトアップ効果が期待できます。
✔ 対象部位:フェイスライン、頬、目元、あご下、首など
✔ 目的:たるみ改善・輪郭の引き締め・ほうれい線やマリオネットラインの軽減
✔ メスを使わずダウンタイムが少ないのが特徴
HIFUの効果はいつから出る?

HIFUの効果は「即時効果」と「遅延効果」の2段階に分かれます。
皮膚内部のコラーゲン繊維が収縮するため、施術直後にわずかな引き締まりを感じる人もいます。
ただし、主要なリフトアップ効果は時間をかけて現れます。
傷ついたコラーゲンが修復・新生されて皮膚の弾力が増すまでに数週間~数ヶ月かかるためです。
例えば症例報告では、施術後1か月時点で最終的な効果の約10%程度、2か月で20%程度しかまだ現れず、3か月目に入る頃に約80%の効果が発揮されたとされています。
つまり多くの人は施術から2~3か月かけて徐々に肌の引き締まりを実感するはずなのです。
この過程は種をまいてから芽が出て花が咲くまでに時間がかかるのと似ており、HIFU後すぐよりも数ヶ月かけてじわじわとリフトアップしていくイメージです。
年齢や肌の状態により実感のスピードには個人差がありますが、実際には施術2〜4週間後から効果を感じる人が多いと言われています。
- 即時効果(施術直後〜数日)
熱による組織の収縮で、一時的に引き締まりを感じる - 遅延効果(2週間〜1ヶ月以降)
皮膚内部のコラーゲン再生が進むことで、徐々にハリやリフトアップ感を実感しやすくなる
HIFUの持続期間はどのくらい?
◎ 平均的な持続期間
HIFUによるリフトアップ効果は半年~約1年程度持続することが多いとされています。
コラーゲン生成による効果は永続するものではなく、加齢による自然なコラーゲン減少プロセスに徐々に打ち消されていくためです。
臨床研究のデータでも施術後6か月で効果維持が確認され、その後徐々に効果が薄れていく傾向が示唆されています。
例えば米国の皮膚科医Fabiらの研究(2015年)では、HIFU施術後6か月の時点で被験者の67%に医師評価で容貌の改善(引き締まり効果)が維持されていたと報告されています。
さらに興味深いことに、この研究ではその効果が施術1年後でも持続していたことが示されています。
つまり半年~1年程度は平均して引き締め効果が続くと考えて良いでしょう。
◎ 1年後の追跡結果と年齢層の違い
もう少し長期のデータを見てみると、1年後でも効果を実感している患者が多いことが分かります。
米国のWerschlerらによる臨床試験(2016年、対象20名)では、HIFU施術後に3か月・6か月・1年と追跡調査を行いました。
その結果、6か月後には参加者全員(100%)が何らかの美容改善効果があると報告し、1年後でも95%の患者が「施術前より状態が良い」と感じていました。
自己評価だけでなく医師の評価でも、1年後に約43%(14人中6人)の患者に明らかな改善が認められたとのことです。
また患者自身の具体的な実感としては、1年後の時点でも「たるみの軽減」を感じた人が全体の79%、「シワの減少」が58%、「肌質の向上(なめらかさ改善)」が47%に上ったと報告されています。
このようにHIFUの効果は少なくとも約1年間は持続しうることが臨床的に示されています。もっとも、効果の持続期間には個人差があり、肌の老化の進行度や生活習慣によっても異なります。
一般的には比較的若く肌の弾力が残っている人ほど効果が長持ちしやすく、逆に高齢の方や皮膚のたるみが強い方では効果維持期間がやや短い傾向があります。
実際、海外のクリニックによる報告では、55歳以上の高齢患者ではベストのリフトアップ効果を維持するために1年内に2回のHIFU施術が必要で、その後は年1回程度のメンテナンスで効果を維持できるとの記載もあります。
このことからも、若年層では1回で1年前後効果維持できるケースが多い一方、年齢を重ねた肌では追加施術によるフォローが効果維持に有用と言えます。
またHIFU機器の出力設定や施術部位によっても持続期間は影響を受ける可能性があります。
エネルギーを高く照射し十分な熱変性を起こせた場合は長持ちしやすく、逆にマイルドな設定では持続期間が短いことも考えられます(安全面とのトレードオフになります)。
総じて「HIFUの効果はどれくらい続くのか?」に対する答えは「目安半年~1年程度。ただし個人差があり、適切に維持すれば1年以上良好な状態が続くケースもある」となります。
そして効果が薄れてきたら1年毎のメンテナンス施術でリフトアップ状態を再度高めるのが一般的です。
HIFUは何回必要?1回の施術で効果はある?

多くの場合、HIFUは1回の施術でも一定の効果が得られると報告されています。
臨床研究でも初回施術のみでの経過を観察したものが多く、1回のHIFUで数ヶ月後に肌の引き締まり効果が現れたとのデータが複数あります。
たとえば韓国で行われたLeeらの研究(2012年)では、顔~首にHIFUを1回行った10人の患者を追跡し、施術90日後(約3か月後)に患者の90%が自分で肌のたるみ改善を実感し、第三者の専門家評価でも80%の症例で改善が認められたと報告されています。
また最近のレビュー研究で複数の試験データをまとめたところ、施術後3か月時点で約92%の患者に何らかのリフト効果(軽度~顕著な改善)が見られたとされています。
このように大半の人は1回のHIFU施術でも数か月以内に引き締め効果を感じており初回治療で一定の満足を得られるケースが多いようです。
ただし効果の出方には個人差があり、たとえばコラーゲン生成力が高い若年者は早めに変化を感じる一方、加齢による皮膚の代謝低下で効果実感に時間がかかる人もいます。
いずれにせよ、「1回で効果が出ないのでは?」と心配する必要はあまりなく、まずは1度の施術で数ヶ月様子を見るのが一般的です。
HIFU複数回施術の効果
HIFUは先述のように施術後に効果が出るまでタイムラグがあるため、間をおかずに連続して何度も施術しても意味がありません。
極端に言えば、一度施術したら皮膚内部では「コラーゲンのリモデリング反応」という種がまかれている状態なので、次の施術はその種が芽を出し結果が現れるまで待って判断する必要があるのです。
通常は3か月ほど経過を見て、効果が不十分であれば追加照射を検討するのが合理的とされています。
「通常は1回で十分な効果が得られるが、もし2回目を行うなら最初の施術効果が現れる3か月後を目安に実施する」こと、さらに定期的なメンテナンスは年1回程度に留めることが推奨されています。
追加で施術を行うことで効果が高まるケースは確かにあります。
特にたるみの強い人や高齢でコラーゲン生成力が落ちている人では、複数回のHIFUを段階的に行うことで引き締め効果を積み上げることができます。
国内外のクリニックでも、軽度のたるみなら年1回、中等度以上のたるみには初年度に2回(例えば半年間隔)施術してしっかり引き上げ、その後は年1回メンテナンスといったプランが採用されることがあります。
このようにHIFUの施術間隔や回数は「肌状態に応じてオーダーメイド」と考え、医師と相談しながら計画を立てることが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q. 痛みはありますか?
A. 出力や機器によって異なりますが、骨に近い部位ではピリピリ感があることも。麻酔クリームで軽減可能です。
Q. 何歳から受けられますか?
A. 明確な下限はありませんが、たるみが気になり始める20代後半〜が目安です。
Q. 自宅用HIFU機器は効果がありますか?
A. 出力が医療用より弱いため、軽い引き締め効果はあっても医療レベルの変化は難しいです。
まとめ|HIFUの効果を最大限に引き出すには?

- HIFUは1回でも効果が期待できる施術
- 効果がでてくるのは施術から2~3か月
- 効果の持続は平均して半年~1年程度
- HIFUの施術間隔や回数は「肌状態に応じてオーダーメイド」
- 論文ベースでも高い満足度と安全性が示されている
最後までお読みいただきありがとうございました。
美容医療を受ける上で大切なのは、「信頼できる情報と医師の判断に基づいて選ぶこと」。
今後も、美容論文チャンネルでは科学的根拠に基づいた美容医療の正しい知識をお届けしていきます。