ボトックスとヒアルロン酸、どっちがシワに効く?|場所別の効果と選び方を解説

ボトックスとヒアルロン酸の
シワに対する効果まとめ
目次

はじめに|「シワ」と言っても、2種類あるって知ってた?

シワと一口に言っても、実は大きく分けて2種類あるのをご存知ですか?

  • 表情ジワ(動的シワ):笑ったり怒ったりしたときに出るシワ
  • たるみジワ(静的シワ):加齢や皮膚のボリューム減少でできるシワ

この違いにより、「ボトックス」と「ヒアルロン酸」は適応が大きく異なります。

本記事では、両者の仕組みと効果、選び方をわかりやすく比較解説します。

簡単に結論を言うと、額・眉間・目尻のような表情ジワには、ボツリヌス毒素(ボトックス)が第一選択で優れた効果を発揮します。

ほうれい線などの静的ジワや顔面のボリューム不足には、ヒアルロン酸注入が効果的です。

ただし、症状や部位によっては併用治療(ボトックス+ヒアルロン酸)が相乗効果を生むこともあります

シワの種類を知る

ボトックスとは?|筋肉の動きを止めてシワを防ぐ注射

ボトックスの効果イメージ

ボトックス注射(A型ボツリヌス毒素製剤)は、額や眉間、目尻などの表情ジワ(動的ジワ)に対してよく用いられる治療法です。

神経から筋肉への信号をブロックし、筋肉の過剰な収縮を抑えることで、皮膚が平滑化されシワが目立たなくなります。

効果は注射後約2週間で現れ、通常3~4ヶ月持続します。

ヒアルロン酸とは?|失われたボリュームを内側から補う注射

ヒアルロン酸注入の効果イメージ

一方、ヒアルロン酸注入剤は皮下にボリュームを補充してシワを埋める方法で、顔のたるみやボリューム減少による静的シワ(例えばほうれい線など)に効果的です。

ヒアルロン酸はもともと体内に存在し肌の保湿や弾力に関与する成分で、皮膚に注入することでハリを回復させます。

ボトックスとヒアルロン酸の治療は作用部位や持続期間、リスクが異なるため、対象となるシワの種類や部位によって使い分けます。

額のシワ治療:ボトックス vs ヒアルロン酸

額しわの治療効果

額の水平ジワは、主に前頭筋という表情筋の収縮によって生じる動的シワが主な原因です。

そのため、額のシワにはボトックス治療が効果的です。

ボトックス注射により前頭筋の動きが弱まり、額のシワが薄くなります。

実際、FDA(米国食品医薬品局)承認の適応にも「額のシワ治療」が含まれており、高い改善率が報告されています。

額へのヒアルロン酸を注入もおこなわれますが、額の皮膚は比較的薄く動きも大きいため、注入したヒアルロン酸が偏ったり凹凸ができやすい点に注意が必要です。

実際、2013年の臨床研究では半顔に額と眉間にボトックス単独注射、もう半顔にボトックス+ヒアルロン酸併用注射を行ったところ、両者とも2~3ヶ月後にはしわ改善効果が得られました。

ただ、併用治療では、額のシワの改善効果が長持ちし、24週目には眉間の静的および動的シワでより大きな改善が得られました。

とはいえ額は動的ジワが主体なので、基本的にはボトックスが第一選択となることが多いです。

眉間のシワ治療:ボトックス vs ヒアルロン酸

眉間しわの効果比較

眉間(いわゆる“しかめジワ”)の縦ジワも、皺眉筋や鼻根筋などの表情筋の収縮で生じる動的ジワです。

この部位もボトックスが標準的な治療法で、筋肉の活動を抑えることでシワが目立たなくなります

美容外科領域の臨床試験でも、ボトックスによる眉間シワの改善は非常に高い有効性が示されています。

ヒアルロン酸を眉間に注入する方法もありますが、皮膚下の血管分布が複雑で、ヒアルロン酸注入によりを皮膚壊死や視力障害など重篤な合併症を招くリスクがあるため推奨はされません。

そのため眉間の治療では、ボトックス注射が第一選択とされます。

目尻のシワ治療:ボトックス vs ヒアルロン酸

目尻しわの効果比較

目尻(カラスの足跡とも呼ばれる笑いジワ)は、眼輪筋という目の周りの筋肉の動きによる動的ジワです。

こちらもボトックス注射がよく効き、目尻の表情シワを滑らかにします

ただし、目元の皮膚は非常に薄いため、ヒアルロン酸注入には注意が必要です。

特に、ヒアルロン酸を目尻に注入するとしこりや凹凸が生じやすく、血流が豊富な部位であるため血管閉塞のリスクもわずかにあります。

そのため、目尻のシワ治療では通常ボトックスが優先され、ヒアルロン酸は主に涙袋や目の下のボリューム改善(ゴルゴライン)など、異なる目的で用いられることが多いです。

ほうれい線治療:ボトックス vs ヒアルロン酸

ほうれい線への効果比較

ほうれい線(鼻唇溝)のシワは、皮膚のたるみや皮下脂肪の減少による静的ジワ(表情を作らなくても目立つシワ)です。

この部位にはヒアルロン酸注入が適応され、直接シワの溝に充填することで改善が期待できます

実際、ヒアルロン酸(Juvédermなど)をほうれい線に注入した臨床試験では、繰り返しの施術により最大で18~21ヶ月間にわたってシワ改善効果が持続したとの報告もあります。

一方、ボトックスは筋肉抑制による手法なので、ほうれい線のような静的シワには基本的に適応されず、ほとんど効果は得られません。

このように、ほうれい線にはボリューム補充型のヒアルロン酸が第一選択となります。

ほうれい線へのヒアルロン酸注入時のリスクとしては、注入部の腫れ・あざ・しこりといった軽微なもののほか、血管に誤注入してしまうと皮膚壊死や視力障害を生じることがあります。

まとめ|2つの注射、正しく使えば「シワレスな肌」へ

ボトックスとヒアルロン酸は、どちらが優れているかというよりも、「どんなシワに使うか」によって効果が変わる施術です。

  • 表情ジワなら《ボトックス》
  • 深いシワや凹みには《ヒアルロン酸》

それぞれの特徴を理解し、美容医師と相談のうえで最適な方法を選びましょう。

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この記事を書いた人

監修者:mio 〜美容のせんせい〜

美容皮膚科・美容外科を専門とする現役医師。4年以上にわたり、都内や地方都市の美容クリニックで美肌治療やリフトアップ施術を担当。論文ベースの確かな情報をもとに、読者が安心して美容医療を選べるよう発信しています。

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