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【脱毛の長期効果】レーザー?IPL?脱毛の機械はどれも効果同じ?!

Nd:YAG、ダイオード、アレキサンドライトの脱毛レーザー及びIPL脱毛で、あるレーザーまたは光デバイスが他のデバイスよりも優れていることは示されなかった。​”

*タイトル

“Efficacy of lasers and light sources in long-term hair reduction: a systematic review”

*著者、雑誌名、公開年

A. Krasniqi, D. P. McClurg, K. J. Gillespie, S. Rajpara, Journal of Cosmetic and Laser Therapy, 2022

この記事のポイント
  • 研究背景と目的
    レーザーおよび光ベースの機器は長期的な脱毛を可能にするが、その有効性を裏付ける証拠は限られている。本研究は、部位ごとの毛の成長周期の違いを考慮し、レーザーおよびIPL脱毛機器長期的な有効性を評価することを目的とした。
  • 方法と結果
    合計223人の患者を対象とする5件のランダム化比較試験(RCT)を分析した。各レーザー(Nd:YAG、アレキサンドライト、ダイオード)およびIPLが
    平均30~84%の長期的減毛効果を示したが、施術部位による効果の差が顕著であった。
  • 考察と結論
    ある脱毛機器が他の装置よりも優れているという明確なパターンは示されなかった。一方、施術部位の毛の成長周期が長いほど、長期的な脱毛効果が大きく見られた。

こんにちは!今回は、レーザー脱毛やIPL(光脱毛)の機器による効果の違いや脱毛施術による長期的な減毛効果を調査した2022年のレビュー論文についてお話しします。

皆さんも脱毛をするときにどの機械にするか迷いますよね。

今回紹介する研究では、レーザー脱毛や光脱毛の機器による効果の違いや、

半年後・1年後にどれくらい脱毛の効果が残っているかなど、気になる情報が盛りだくさんなので、ぜひ最後までご覧ください!

目次

研究背景 〜脱毛効果は本当に長く続く?〜

レーザーや光(IPL)を用いた脱毛技術は、現在多くの人々に長期的な毛の減少(脱毛)を目的として利用されています。

しかし、これらの技術が本当に長期にわたって効果があるかについては、限られたデータしかありません。

本研究では、特に毛の成長サイクル(成長期、休止期など)が部位ごとに異なる点に着目しつつ、レーザーと光デバイスの効果を比較しています。

例えば、脚の毛の成長サイクルは約1年ですが、顔は約6か月です。

このような違いが脱毛効果のどのように影響するのかも調査しています。

研究方法 〜レーザー脱毛とIPL脱毛の比較〜

合計893件の論文がスクリーニングされ、これらのうち、合計223人の患者が対象とする5件のランダム化比較試験(RCT)がこのシステマティックレビューに含めるのに適していると判断されました。

使用されたデバイスには、Ndレーザー、アレキサンドライトレーザー、ダイオードレーザー、インテンスパルスライト(IPL)が含まれます。

各デバイスの研究数および施術患者数は以下のようになります。

  • Nd:YAGレーザー(2試験、55人の患者)
  • ダイオードレーザー(3試験、97人の患者)
  • アレキサンドライトレーザー(3試験、111人の患者)
  • ルビーレーザー(0試験)
  • IPL(3試験、103人の患者)

各デバイスの効果が顔やあしなど身体の部位でどのように異なるかも評価しました。

研究結果 〜どの機械でも脱毛効果は長続き!〜

脱毛機器の種類と減毛効果

5つの試験すべてにおいて、主な関心対象である長期的な脱毛効果に関するデータが報告されました。

それぞれ機器における平均的な脱毛効果は以下のようになります。

短期脱毛施術から3〜6ヶ月後に元々と比べてどれだけ毛が減ったか、長期12ヶ月〜18ヶ月たってどれだけ毛が減っているかの割合と考えてみてください。

  • Nd:YAGレーザー:短期 60~73.60%、長期 30~73.61%
  • ダイオードレーザー:短期 59.7~70%、長期 32.5~69.2%
  • アレキサンドライトレーザー:短期 52~85.99%、長期 35~84.25%
  • IPL:短期 21~77%、長期 27~52.7%

脱毛の施術を受けて、1年経っても施術部位の毛が30%〜80%も減っているのはすごいと思いませんか?

短期にしても長期にしても、脱毛効果に幅があるのは施術する部位や出力により脱毛効果が異なるためです。

いくつか研究を詳しく見てみましょう。

あしの脱毛におけるアレキサンドライトレーザーとNd:YAGレーザーの比較評価〜盲検ランダム化試験、18か月の追跡調査

2008年イランの研究では、皮膚タイプ III~IV の20人のボランティアを対象に、脚の脱毛におけるレーザー治療を比較するRCTを実施しました。機器の設定は以下になります。

(1) ロングパルス 1064 nm Nd:YAG レーザー (スポットサイズ 12 mm)、フルエンス 40 J/cm 
2、パルス持続時間 3 ミリ秒、DCD スプレー持続時間 50 ミリ秒、間隔 50 ミリ秒
(GentleYAG、Candela Corporation)

(2) ロングパルス 755 nm アレキサンドライトレーザー (スポットサイズ 12 mm)、フルエンス 40 J/cm 
2、パルス持続時間 3 ミリ秒、DCD スプレー持続時間 50 ミリ秒、間隔 50 ミリ秒
(Gentlelase、Candela Corporation、マサチューセッツ州ウェイランド)


(3) ロングパルス 755 nm アレキサンドライトレーザー (スポットサイズ 18 mm)、フルエンス 20 J/cm 
2、パルス持続時間 3 ミリ秒、動的冷却装置 (DCD) スプレー持続時間 50 ミリ秒、間隔 50 ミリ秒
(Gentlelase、同上)

(4) ロングパルス 1064 nm Nd:YAG レーザー(spotsize12mm)+長パルス 755 nm アレキサンドライトレーザー(spotsize12mm)の併用療法

(1)〜(4)の群に分けて、8週間間隔で合計 4 回のセッションで治療されました。

最後の施術から8か月後と18か月後に、2 人の盲検評価者によるベースラインからの体毛減少を評価しています。

15 名の参加者が試験を完了し、最後の脱毛から18か月後の体毛減少率の平均 (SD) は、

(1)Nd:YAG レーザーで 73.6%

(2)12mmスポットサイズのアレキサンドライトレーザーで 75.9%


(3)18 mmスポットサイズのアレキサンドライトレーザーで 84.3%


(4)YAG+アレキ併用療法で77.8%

でした。併用療法を受けた部位では、副作用 (色素沈着) の発生率と痛みの重症度が有意に高くなりました。

この研究では、最終施術から8ヶ月後と18ヶ月後を比べても毛の減少率は維持されていました。

結論として、施術18ヶ月後もNd:YAGレーザーとアレキサンドライトレーザーの脱毛効果がしっかりとあることが述べられています。

さらに、他の研究ではアレキサンドライトレーザーがNd:YAGレーザーよりも脱毛効果が高いことが示されていますが、本研究では両者に有意差は認められませんでした

研究結果の解釈として、本研究では、含まれるRCTが5つと少数であり、また患者数も限られていることに注意が必要です。

Visiomed AGデバイスとデジタル写真で測定した平均毛密度と毛の減少量

100名の女性を対象にしたさまざまな脱毛レーザーの比較研究

2003年のアラブ首長国連邦ドバイの研究では、皮膚タイプ IV~VI の100人の女性ボランティアを対象に、顔の唇上とフェイスライン領域を対象とした脱毛施術で、Nd:YAG、アレキサンドライト、ダイオードレーザーの効果を比較する RCT を実施しました。

レーザーの設定は以下の通りでした。

  • Nd-YAG (multipulse 9.5 ms pulse duration, 5-mm spot size, 30–120 J Athos)
  • Alexandrite (40 ms pulse duration, 10-mm spot size, 20–40 J Sharplan)
  • Diode (40-ms pulse duration, 9-mm spot size, 20–40 J Lightsheer)

それぞれのレーザーにおいて出力は明確に定められておらず、施術による結果は下のTable1のようになりました。

複数回の治療(3, 6回のセッション)の施術後から1〜12か月後の追跡調査が行われています。

6回の施術を受けた場合の減毛率をみてみると、6ヶ月後でアレキサンドライト ・ダイオード・Nd:YAGレーザーそれぞれ70〜80%、12ヶ月後35〜40%の長期的な減毛が示されました。

3つのグループ間の比較については、統計的検定と脱落率は報告されておらず、データの解釈が困難でした。

Table2の副反応を見てみると、赤み・火傷・色素沈着のリスクアレキサンドライトレーザーが一番高く、続いてダイオードレーザー、Nd:YAGレーザーとなっており、

スキンタイプIV~VIと肌の黒い人には、Nd:YAGレーザーが最も安全に脱毛できるマシンだと結論づけられています。

多毛女性の顔の脱毛研究:ダイオードレーザーとIPLのランダム化比較試験

2010年のデンマークの研究では、多毛の女性 31名を対象として、IPL (525~1200 nm、Palomar Starlux IPL システム) および LPDL (810 nm、Asclepion MeDioStar XT ダイオードレーザー) による 6回のsplit-face試験を受けました。

IPLとダイオードレーザーは毛を有意に減少させ、ベースラインからの減少中央値は、

IPLでは 1、3、6 か月でそれぞれ 77%、53%、40%ダイオードレーザーでは 68%、60%、34% でした。

6 か月の追跡調査では、毛髪減少 (P = 0.427)、および患者満足度 (P = 0.125) に関してIPLとダイオードの治療間に有意差はありませんでした。

ダイオードレーザーとIPLによるわき脱毛:ランダム化比較研究

2013年のドイツの研究では、わき毛に悩む30人の被験者 (皮膚タイプ II-III)を対象に、

IPL(Ellipse Flex PPT、Danish Dermatological Development、デンマーク、ホーシュホルム、λem=600-950 nm)

およびダイオードレーザー(LightSheer XC システム、Lumenis Inc.、米国カリフォルニア州サンタクララ、λem=800 nm)

による脱毛治療を評価しました。

各デバイスで4週間毎に6回の治療を実施し、最後の施術から3ヶ月後と12ヶ月後に毛の減少率を評価しました。

するとベースラインと比べ、3か月後と12か月後わき毛平均減少率は、それぞれダイオードレーザーで59.7%と69.2%IPL治療で42.4%と52.7%で有意に減少していました。

ダイオード治療の方が痛みを強く感じたようですが、重篤な副作用は両機器とも認められませんでした。

この研究では、IPLよりダイオードレーザーの方がわき脱毛に効果的であると結論づけられています。

結論と考察 〜脱毛効果は身体の部位で変わる〜

本研究は、レーザーやIPLによる脱毛が長期的に有効であることを確認し、その効果は施術する部位の体毛成長サイクルに依存することが明らかになりました。

また、治療方法やデバイスの違いによる効果のばらつきも確認されましたが、各デバイスの優劣を明確に示す証拠は得られませんでした

この研究は、美容的ニーズから健康上のニーズまで、脱毛を望む人々に対して、より効果的な治療方法を提供するための指針となるものです。

本研究の限界としては、含まれるRCTが5つと少数であり、また患者数も限られていることがあります。

さらに、研究毎にデバイスのパラメータ設定や治療プロトコルに一貫性がなかったため、結果の解釈には注意が必要です。

例えば、治療回数やエネルギー出力が異なるため、それぞれのデバイスの比較が難しいという課題があります。

また、2005年のカリフォルニアの研究によると、明るい色の体毛の参加者は、黒色毛の参加者と比較して脱毛の効果が5~15%低いことが示されました。

したがって、このレビュー論文から得られた知見は、必ずしも全ての人に一般化当てはまるものではないかもしれません。

それでも、本研究のように長期的な追跡調査と毛の成長サイクルに注目した報告は少なく、この点で、本研究は脱毛の長期効果における貴重な知見を提供しています。

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