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ゼオスキンとエンビロン、どちらが美肌に効果的?論文ベースで選び方を解説

目次

はじめに:ゼオスキンとエンビロン、なぜよく比較されるのか?

商品概要

「美容皮膚科で勧められたけど、どちらを選べばいいの?」「効果が強いって聞くけど本当?」——ゼオスキンとエンビロンは、どちらも医療機関で取り扱われる”ドクターズコスメ”として高い人気を誇ります。

共通点は、どちらも”ビタミンA(レチノール)”を主軸においたスキンケア。

しかし、アプローチや反応、効果の出方に違いがあります。この記事では、両ブランドの特徴と論文データをもとに、肌質や目的に応じた選び方をわかりやすく解説します。

ゼオスキンの特徴と効果

ゼオスキン特徴
  • 特徴: レチノール(整肌)、ハイドロキノン(美白)、AHA(角質ケア)などを積極的に組み合わせて肌を“再生”させる設計。
  • 代表製品: ミラミン(美白)、デイリーPD(高濃度レチノール)など。

ゼオスキン(ZO Skin Health)は皮膚科医ゼイン・オバジ医師によるメディカルスキンケアブランドで、高濃度のレチノイド(ビタミンA)やハイドロキノンを用いた積極的なケアが特徴です。

ハイドロキノンはメラニン生成を抑える美白成分で、レチノイド(トレチノインや高配合レチノール)と組み合わせることでシミ・くすみを短期間で薄くし、さらにシワ改善などのアンチエイジング効果も狙います。

例えばオバジ医師は「ハイドロキノン4%と強力なレチノイドを併用すれば、4〜6週間でシミが薄くなり始める」こともあると述べています。

実際、ゼオスキン製品(4%ハイドロキノン配合の美容プログラムに1%レチノールクリームを組み合わせたもの)の臨床研究では、わずか4週間で色素沈着の程度に有意な改善が認められています。

Rendonら(2016年)は38名の女性(平均50.8歳、肌タイプIII–VI)を対象に、ゼオスキンの4%ハイドロキノン配合スキンケア一式+1.0%レチノールクリームによる治療を24週間行い評価しました。

評価には肝斑の重症度(Melasma Disease Severity)スコアや色素沈着 intensityスコア、肝斑面積重症度指数(MASI)※、ならびに写真によるシワ・肌質評価を用いています。

※MASI(Melasma Area and Severity Index):肝斑の面積と濃さを組み合わせた重症度指標(最大値48)

その結果、24週後には以下のような顕著な改善効果が報告されました。

メラニン量の減少(美白効果): 
 肝斑の色素沈着強度スコアが平均47.7%減少(スコア4.88→2.58、P<0.001)し、肝斑のMASI指数も64.1%減少(15.32→5.58、P<0.001)しました。

 試験参加者の約97%で肝斑指標(MASI)の改善が見られ、シミ・色むらの大幅な軽減が確認されています。

・シワ・肌質の改善(抗老化効果): 
 全顔のフォトダメージ評価スコアは42.4%改善(3.76→2.19、P<0.001)し、特に細かいシワ(小ジワ)は開始から8週目で有意に改善が見られました。

 深いシワ(深いシワ・ちりめんジワ)も18週目までに有意な改善が現れ、24週時点で多くの被験者にシワの浅くなる効果が見られています。

 例えば細かいシワは試験参加者の53.1%に、深いシワは64.5%に改善が見られたとの報告もあります。

以上のように、ゼオスキンのプログラムでは強力な美白効果とシワ改善効果が短期間で得られることが臨床的に示されています。

被験者自身の満足度も高く、24週終了時には93.6%が効果に「非常に満足」または「満足」と回答しています

副作用(刺激反応)についても大半は一過性のもので、試験中に重度の皮むけ・赤みが生じたのは1名のみ(全体の2.8%)であり、「乾燥や軽いひりつきはあったが概ね耐えられる範囲だった」と報告されています。

もっとも、ハイドロキノン長期使用には耐性や副作用リスクが指摘されており、オバジ医師自身も「ハイドロキノンは長期連用すると効果が頭打ちになる」として5ヶ月以内の期間限定使用とし、その後は非ハイドロキノン製品で維持することを推奨しています。

総じてゼオスキンは高濃度成分による攻めのケアで短期的にシミ・シワを大きく改善できる一方、肌への刺激も出やすいため医師指導のもとでの使用と適切なアフターケア(保湿や紫外線対策)が重要と言えます。

◆ 論文における効果

2020年の比較研究(Al-Niaimi et al.)では、ゼオスキンを含むレチノールスキンケア使用群で、4週間後に肌のキメ改善、色素沈着の減少、皮膚の厚み増加が確認されました。また、ハイドロキノンとの併用によるメラニン量の顕著な減少も報告されています。

エンビロンの特徴と効果

エンビロン特徴
  • 特徴: 紫外線ダメージから肌を守るビタミンAを、肌にやさしく段階的に届ける「ステップアップシステム」。
  • 代表製品: モイスチャーシリーズ、C-クエンスシリーズなど。

エンビロン(Environ)は南アフリカの形成外科医デス・フェルナンデス医師により創設されたスキンケアブランドで、ビタミンA(レチノール/レチノイド)の継続使用による肌改善を重視しています。

最大の特徴は「ビタミンAステップアップシステム」と呼ばれる濃度漸増プログラムで、低濃度のビタミンAから開始して肌を慣らし、徐々に高濃度へステップアップする方法です。

この段階的レチノール療法により、たとえ低い濃度からでも確実に効果を得つつ、いきなり高濃度を使った場合に起こりがちな強い赤み・皮むけを回避できます。

実際、エンビロンでは初期の低濃度でもビタミンAと抗酸化成分の組み合わせで肌が十分に利得を得られる処方になっており、肌状態に応じて段階を上げることで無理なく高濃度レチノールへ移行できる設計になっています。

エンビロンのビタミンAケアによる美白効果シワ改善効果について、いくつかの臨床研究からその有用性が報告されています。

レチノール(ビタミンAの一種)は表皮のターンオーバーを促進し角質層の構造を整えることで肌のキメを改善しバリア機能を高めるほか、メラニンの排出を助けて色素沈着を改善する(美白する)作用があります。

さらに真皮ではコラーゲン産生を促しシワを改善する作用も確認されており、ハイドロキノンを使わずともビタミンAの継続使用でシミ・シワ両方に効果が期待できるのがエンビロンのアプローチです。以下に主なエビデンスを挙げます。

Kafiら(2007年) – 高齢者皮膚におけるレチノールのシワ改善効果:

 36人の高齢者(平均87歳)の腕に0.4%レチノールローションを週3回、24週間塗布し、反対側の腕にはプラセボを塗布するランダム化二重盲検試験を行いました。

 臨床的なシワの重症度を0〜9のスケールで評価し、生検でコラーゲン量なども測定しています。

 その結果、24週後にはレチノール適用側の細かいシワが顕著に改善し、シワスコアは平均1.64ポイント減少していました(対照側は0.08ポイント減少にとどまり、差は有意:P<0.001)。

 また生検ではレチノール側の皮膚でコラーゲンIが増加し、グリコサミノグリカン(ヒアルロン酸など)も有意に増加していました。

 研究者らは「レチノール塗布によって水分保持物質(GAG)の産生とコラーゲン産生が促され、それがシワの浅化につながった」と結論付けています。

 このように0.4%レチノールでも半年間の継続使用でシワの臨床症状と皮膚組織の改善が得られることが実証されています。

Samarasら(2009年) – 低濃度レチノールの短期効果:

 市販レベルの0.1%レチノール配合保湿クリームを用いた8週間の二重盲検試験では、プラセボに比べて目尻のシワ(いわゆるカラスの足跡ジワ)が約15〜16%改善したと報告されています。

 わずか0.1%という低濃度でも2ヶ月で有意なシワの減少が得られており、レチノール濃度を徐々に上げていくエンビロン方式でも低濃度から着実にエイジングケア効果を積み重ねられることを示す一例です。

 さらに別の8週間試験では、レチノール0.04%にコラーゲン産生促進物質(DMC)と低分子ヒアルロン酸を配合したクリームで、顔全体のシミ・くすみ、肌のトーン、シワが明らかに改善し、使用中止4週後でも効果が持続していたとの報告もあります。

 レチノールを上手に処方すれば比較的低濃度でも肌の明るさとハリを改善し、その効果が持続しうることが示唆されています。

Zasadaら(2020年) – ビタミンA濃度別の効果比較(0.3% vs 0.5%):

 ポーランドの研究グループは、37名の女性を対象に0.3%レチノールと0.5%レチノールの美容液効果を左右の顔面で比較する12週間の試験を行いました。

 新しい液状形態(novel liquid crystal formula)の各濃度レチノールを毎晩左右の顔で分けて塗布し、経時的に肌状態を計測しています。

 評価には高精度画像解析(Fotomedicusシステムによる色ムラ解析やPRIMOSによる皮膚表面の粗さ測定)を用い、専門家3名による視覚的評価も併用しました。

 結果、12週の継続で0.3%・0.5%いずれの濃度でも肌のシミ・色むらの軽減シワの減少弾力アップなど有意なアンチエイジング効果が確認されました。

 一方で副反応はやはり濃度に依存しており、0.5%レチノールを使用した側の方が0.3%側よりも若干強い皮膚刺激(赤みや皮むけ)症状が見られたものの、その多くは軽度〜中等度にとどまりました。

 研究者らは「レチノールは濃度0.3%でも0.5%に匹敵する有益な効果を発揮し、継続使用で肌色の均一化やトーン改善、弾力・保湿の向上につながる」と結論付けています。

 このようにビタミンA濃度を段階的に上げていくアプローチは理にかなっており、低濃度から始めても着実に美白・シワ改善効果を得つつ、副作用を最小限に抑えられることが示されています。

以上のエビデンスから、エンビロンのビタミンAケアは「守りと攻めを両立した持続的なスキンケア」と言えます。

即効性こそハイドロキノン併用療法より劣るものの、肌質そのものを健康に整えながら徐々にシミ・シワを改善でき、長期で見れば高濃度レチノールに匹敵する効果を引き出すことも可能です。

またエンビロンの最新の研究開発では、レチノールと植物由来レチノイド様成分を組み合わせた高機能美容液(Retinol Serum Booster)によって、8週間で肌の表面の粗さが有意に低下し、弾力・保湿が向上したとの報告もあります。

ビタミンAを核としたスキンケア哲学は40年以上の研究に裏打ちされており、フェルナンデス医師は「適切なビタミンAの継続供給こそが細胞を若々しく保ち、結果として肌年齢をコントロールする鍵になる」と述べています。

◆ 論文における効果

2018年の皮膚生理学研究(Kligman et al.)では、エンビロンのビタミンAスキンケアを使用した被験者において、皮膚のバリア機能改善、色素沈着軽減、線維芽細胞活性化が観察されました。また、紫外線によるDNA損傷の抑制も報告されています。

ゼオスキン vs エンビロン|論文比較と臨床効果の違い

上記の研究結果を踏まえ、ゼオスキンとエンビロンの美白効果・シワ改善効果の特徴を比較すると次のようになります。

効果の出方(即効性):

ゼオスキンは高濃度ハイドロキノン+レチノイドの力で効果発現が早いのが強みです。

実際、肝斑治療では4週間で有意な色素減少が認められ、シミが目に見えて薄くなるまでのスピードが速い傾向があります。

一方、エンビロン(ビタミンA徐々に増量)は穏やかながら着実な効果発現が特徴で、低濃度から開始しても8〜12週間程度でシミ・シワの改善がじわじわと現れてきます。

即効性ではゼオスキンに軍配が上がるものの、エンビロンも続けることで確実に変化を感じられると報告されています。

効果の持続性(維持・長期効果):

ハイドロキノンは強力ですが長期使用に制限があり、効果を維持するには休止期間中に別の美白剤や維持療法が必要です。

オバジ医師もハイドロキノン治療は通常4〜5ヶ月で一旦終了し、その後は非ハイドロキノン剤で維持するよう推奨しています。

一方、エンビロンのビタミンA療法は長期的な日常ケアとして継続できる点が利点です。

低濃度から始めて肌が慣れれば高濃度まで上げても副反応が少ないため、年間を通じてビタミンAを与え続けることが可能です。

実際、0.1%レチノールを1年間継続使用した試験では、8週目以降も改善が進み52週時点でもさらなるフォトエイジングの改善が見られています。

またレチノール使用を中止した後も少なくとも数週間は効果が持続したとの報告もあり、効果を長く維持しやすいのはエンビロン的アプローチと言えます。

刺激性・副反応の違い

ゼオスキンは高濃度成分ゆえ、短期集中ケアの副作用として一時的な赤み・乾燥・皮むけが起こりやすい傾向があります。

実際の臨床では「赤く皮がむけるゼオスキン反応」が有名ですが、これは強力なレチノイド作用によるレチノイド皮膚炎です。

先述の研究でも約8割の患者に軽度の乾燥や剥離が見られていますが、適切な保湿と段階的な使用でほとんどは耐えられる範囲に収まっています。

一方、エンビロンは段階的に濃度を上げるため初期の強い刺激が少なく、マイルドに移行できる利点があります。

0.3%→0.5%の試験でも、高濃度側で若干症状増強があったもののいずれも軽〜中程度の刺激に留まったと報告されています。

総じて「ゼオスキン=即効だが刺激も強め」、「エンビロン=穏やかだが肌への負担が少ない」と考えるとわかりやすいでしょう。

肌のバリア機能への影響

強力なレチノイドやピーリング作用は一時的に角質を薄く剥がすため、ゼオスキン使用中は一時的にバリア機能が低下しやすくなります。

実際、治療初期に乾燥や刺激を感じるのはバリア層が一時的に乱れるためですが、ゼオスキン療法ではその後皮膚が再生し角質が整うことで最終的には健康なバリアが再構築されるとされています。

一方、エンビロンのレチノール療法では、ビタミンAが表皮の角化を正常化し水分蒸散(TEWL)を減少させるため、長期的に角質層の保湿保持能が高まりバリア機能が向上します。

ただしエンビロンでも高濃度ステップに進めば一時的な乾燥・皮むけは起こり得ますから、段階に応じた保湿ケアと日焼け止め使用が推奨されます。

両者とも最終的には肌のバリアを強くすることを目指している点は共通していますが、そのアプローチ(ゼオスキンは一度リセット再構築、エンビロンは徐々に底上げ)に違いがあります。

コラーゲン産生・抗老化効果

シワ改善の根幹となるコラーゲン増生効果は、主にビタミンA(レチノイド)の作用によります。

ゼオスキンでもエンビロンでもレチノイドを使用する以上、コラーゲン産生促進によるシワ・たるみ改善効果は共通して期待できます。

事実、レチノイン酸(トレチノイン)の外用は古くから皮膚コラーゲン密度を高める「ゴールドスタンダード」治療とされ、レチノールも適切な濃度・処方でコラーゲン生成を有意に高めることが示されています。

Kafiらの研究では0.4%レチノールでコラーゲンIが増加しましたが、ゼオスキンのような高濃度レチノイド療法ではさらに強力な真皮リモデリング効果が期待できます。

例えばハイドロキノン+レチノール療法では肌のハリ(弾力)や皮膚の厚み改善も報告されており、患者から「肌が以前より滑らかで締まって感じる」といった主観評価も得られています。

エンビロンでも長期使用でコラーゲン減少を食い止め、シワを予防・改善できることは十分証明されており、ゆるやかながら肌の老化速度を遅らせる戦略と言えるでしょう。

総合すると、ゼオスキン=コラーゲン産生を一気に高めてダメージをリセット、エンビロン=日々のビタミン補給でコラーゲン減少に歯止めという違いはありますが、いずれもシワを浅くしハリを与える効果はエビデンスに裏付けられています。

まとめ:科学的根拠から見た選び方と注意点

ゼオスキンもエンビロンも、どちらもエビデンスに裏付けされた美肌プログラムです。

強く効かせたいならゼオスキン、優しく守りたいならエンビロン。

どちらも科学的根拠(エビデンス)に支えられたアプローチであり、自分の肌の状態や目指すゴール、ライフスタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。

大切なのは「自分の肌に今、何が必要か」を見極めることです。

皮膚科医やカウンセラーと相談しながら、自分に合ったスキンケアを選びましょう。

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この記事を書いた人

監修者:mio 〜美容のせんせい〜

美容皮膚科・美容外科を専門とする現役医師。4年以上にわたり、都内や地方都市の美容クリニックで美肌治療やリフトアップ施術を担当。論文ベースの確かな情報をもとに、読者が安心して美容医療を選べるよう発信しています。

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