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糸リフトの本当の効果とは?最新研究に基づくエビデンスを解説!

目次

はじめに:糸リフト、実際どこまで効果があるの?

「たるみが気になってきたけど、切るのは怖い」「フェイスラインを引き上げたい」——そんなニーズに応える施術が”糸リフト(スレッドリフト)”です。

しかし、「本当に上がるの?」「どのくらい持つの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?

この記事では、最新の研究データをもとに、糸リフトの引き上げ効果と持続期間について、初心者にもわかりやすく解説します。

糸リフトの引き上げ効果は?研究で実際に何ミリ上がるのか

近年の臨床研究では、糸リフトのリフトアップ効果が数値で示されるようになってきました。

たとえば、Diasproら(2021年)の研究では、耳下からマリオネットラインまでの距離が直後に5mm前後短縮し、その効果が8か月後でも3~4mm維持されました。

また、Ortiz Middletonら(2023年)による中顔面へのPDO糸による研究でも、平均約3mmの皮膚の引き上げが測定されており、糸リフトの客観的効果が裏付けられています

さらに、小規模研究ですがAliら(2017年)の研究では、独自の定規測定で直後に大半の患者で6mm以上のリフトアップを記録し、一部では10mm以上の劇的な改善例も報告しています。

このように臨床研究の写真測定や3D解析により、糸リフトは数ミリ単位のフェイスライン改善効果をもたらすことがエビデンスとして示されています。

◆ 引き上げ効果まとめ表

研究者(年)症例数使用糸評価方法引き上げ量
Diaspro (2021)6名PLLA/PCLコグ3D写真計測(顔表面距離)最大5.54mm(直後)→4.18mm(8か月後)
Ortiz Middleton (2023)36名PDOコグ3D光学スキャン(Vectraシステム)平均2.8mm
Ali (2017)21名PDOコグ糸定点写真の距離測定&独自スコア6〜10mm(直後)→3mm以上(8か月後)

効果はどれくらい持続する?吸収糸と非吸収糸で違いはある?

糸リフトの効果がどれくらい持続するかについて、吸収性と非吸収性の糸で違いが報告されています。

一般に非吸収糸(ポリプロピレン糸など、体内に残る糸)は長期持続が期待され、1~2年程度は効果が持つと考えられてきました。

一方、吸収糸(PDOやPLLA/PCLなど生体吸収される糸)は数ヶ月~1年程度で糸自体は溶解しますが、コラーゲン新生による効果が残存しうるため実質的な持続は1年前後(長い場合で約1~2年)とされています。

近年の長期臨床研究からは、吸収糸でも効果が比較的長く続く例が示されています。

Aliら(2017年)の前述の研究では、吸収糸PDOによるリフト効果を2年間追跡しました。

その結果、術後3~6か月までは患者全員が「非常に満足」する状態で高いリフト効果が維持されましたが、

1年後には全員が「適度に満足」レベルまで効果が減衰し、2年後には約47.6%の患者が「適度に満足」(中程度の効果維持)、38%が「やや満足低下」、残り約14%では効果消失という経過が報告されています。

実際の皮膚リフトアップ効果も、1年時点で95%以上の症例が3~6mmのリフト効果を保持していましたが、2年後には約57%の症例で効果が1~2mm程度まで低下し、9.5%ではリフト効果が消失していました。

このように吸収糸の場合、1年を過ぎると徐々に効果が弱まり、2年後には多くの症例で元のたるみに近づくことが示唆されています。

一方、非吸収性の糸に関する長期データは限られますが、糸自体が体内に残存するため理論上は長期効果が期待できます。

例えばMototsugu Fukaya氏ら(2017年)非吸収(溶けない)糸によるリフトの長期効果を検討し、1年経過時でも明らかなフェイスリフト効果が維持されている症例を報告しています。

しかし、非吸収糸でも加齢によるさらなる皮膚のたるみは進行するため、永久に効果が持続するわけではありません。

実際、糸リフト全般の効果は「永久的ではなく平均1~3年で徐々に元に戻る」と総括するレビュー記事もあります。

非吸収糸は長期に留まることで効果持続はやや長め(約2年以上)とされる一方、異物による合併症(糸の露出や感染など)が蓄積するリスクも指摘され、近年は安全性の観点から吸収糸が主流となっています。

実際の患者満足度調査では、吸収糸・非吸収糸のいずれでも術後半年程度までは高い満足度を示すものの、1年以降の満足度低下は共通して報告されています。

以上のエビデンスを踏まえると、糸リフトの効果持続期間は概ね1年前後と考えられます。

ただし使用する糸の種類によって若干異なり、非吸収糸では1~2年程度効果が持続しうる一方、吸収糸では6か月~1年程度で糸自体は消失するもののコラーゲン効果で最大2年程度まで効果が持続する可能性があります。

糸リフトは外科的フェイスリフトほど永続的ではないものの、低侵襲で一定期間フェイスラインを改善できる治療として位置づけられ、特に効果を長持ちさせるにはPLLAやPCLなど長期吸収型の糸や他施術との併用が有用と示唆する報告もあります。

今後も更なる長期データの蓄積が望まれています。

◆ 効果持続性まとめ

糸の種類糸の特徴効果の持続期間備考
吸収糸(PDOなど)体内で溶ける約6ヶ月〜2年コラーゲン増生効果あり
非吸収糸溶けない約1〜3年合併症リスクが懸念され減少傾向

まとめ:糸リフトの効果は「確実にあるが、永続ではない」

最新の研究によれば、糸リフトは数ミリ単位のリフトアップ効果をもたらし、半年〜1年(最大2年)程度の持続性があります。

劇的な変化ではありませんが、「たるみをさりげなく引き上げたい」「ダウンタイム少なめで若返りたい」という方に向いている治療です。

効果を最大限に活かすには、医師との相談のうえ、自分に合った糸・挿入方法・メンテナンス計画を立てることが重要です。


今後も美容論文チャンネルでは、エビデンスに基づいた美容医療情報をわかりやすくお届けしていきます!

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この記事を書いた人

監修者:mio 〜美容のせんせい〜

美容皮膚科・美容外科を専門とする現役医師。4年以上にわたり、都内や地方都市の美容クリニックで美肌治療やリフトアップ施術を担当。論文ベースの確かな情報をもとに、読者が安心して美容医療を選べるよう発信しています。

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